オードリー・タン、グレン・ワイル、鈴木健らが問う多元的な未来とその実現に向かって──WIRED UNIVERSITY × Miraikan夏期講座レポート!
https://scrapbox.io/files/6774e9ebeb44bf159b635daf.png
healthy-sato.iconも現地参加した2024.08.31のWIRED主催のイベント。
以下は個人的に印象に残った言葉のメモ(※手元メモとレポート記事を合体してます)
「大事なのは輸入された概念をそのまま正解だと受け止めてはならない。」
「テクノロジーのなかには自発性を促進するものと奪うものがあり、デモクラシーは自発性を生み出さないとうまくいかない。」 「仕組みを導入し得てもけ魂がなければ形式的で意味がない」
『PLURALITY』ではジョン・デューイの教育論と民主主義についても触れられていますが、デューイは民主主義が成立するためには「自発的に世界を変えられる」と信じられるような教育がなければいけないと考えていました。これをデューイは、「learning by doing」といいました。 一方で日本の教育では、デューイに起源をもつアクティブラーニングの影響も受けて、詰め込み型から問題解決型の教育への移行が国主導で試みられたものの、学校の先生がどうやっていいかわからないので、考え方がすべてマニュアル化されてしまってうまくいかなかったんですよね。マニュアルどおりの問題解決なんて子どもたちの問題意識とつながらないので、まったくアクティブラーニングにはならない。
「自発性をどう活発化するのか、をどう支援していくのかがめちゃくちゃ大切なことを強調していきたい。」
松島さん:哲学の文脈でも「技術多様性」と言われるが、技術と多元性のつながりは?
社会の複雑性は従来の要素還元主義的な物理学だけでは扱えなくなってきた。
経済学では、昔は物理学をモデルとしてさまざまな現象が考えられてきましたが、複雑系科学の登場によって、単純な要素が集まるだけでも相互作用によって複雑なプロパティ(性質)が生まれることがわかってきた。社会を考える場合はさらに複雑で、単純な要素ではなく一人ひとり異なる性質をもった個人が相互作用するわけですが、これだけの差異があると通常の物理モデルでは扱えないわけです。しかも、一人ひとりが異なるだけではなくて、ひとりの人間のなかにも複雑さがありますよね。
スピングラスのモデル
しかも、自然科学とは異なり社会は観測者である人間を切り離せない。自ら参加しながら社会を捉える必要がある。
社会とテクノロジーは共進化する
社会が複雑化するほど、テクノロジーも複雑化する
テクノロジーが社会の複雑性を支えきれなくなったとき、社会や個人の複雑さが減っていく。
テクノロジーが複雑に多様化していくのか単純化していくのかは、わたしたち人間の手にかかっていると思っています。
松島さん:AIはPlurarityをどうエンパワメントできるのか?
Audrey
人間と機械が互いに学び合うフィードバックループを作る必要がある。
AGIの議論ではほとんど着目されておらず、二元論的に加速させるか止めるか、イノベーションを起こすか規制するかになってしまう。この方向性は社会の複雑性を損ねる可能性がある。
prersonal assistive intelligenceが必要。
人間が自身の尊厳を持ち続けられる透明性がある支援的なテクノロジー
自身が自分をコントロールできる技術
例えば、
メガネ
メガネをかけるからメガネがいらなくなるわけではない。コミュニケーションの尊厳を守り、見ることを支援してくれるのがメガネ。
メガネをかけるわけで、メガネにかけられているわけではない
AIの設計においても人を支援し、経験をエンハンスするようなものをつくる必要があります。オートメーションではなく、コラボレーションが必要なのです。そして多くの人々とコラボレーションすることが、多元主義につながっていくはずです。
質疑:VUCAで失敗で隣り合わせの時代。失敗を許容されづらくなっている文化。テクノロジーは失敗しないものという位置づけもあると思うが、技術の発展と失敗についてどう思うか。日本以外でもあるのか。 Audrey
なるべく早く失敗すればするほど次の共創につながる。マニフェストを作る前に、オンラインに出す。なにか書く前に、概論だけでいわれたら良くないと思う。全てのものはコピーライトがないというのが自分のマニフェスト。周りに、失敗するので直してねと言っている。失敗するまで全部秘密にしたら、時遅しになる。人々の批評に出てきたときに、反論するニーズが発生する。もっと早い段階で透明性の高い形で失敗をしていけば、一緒に変えていこう、
すべてのものを正しくする必要はない。すべての間違いは友人を作るチャンス。
Glen
ユートピア主義は最も保守的なアプローチだと考える。新しいことにトライできなくなる。もしユートピアにあるなら、間違っていることを試せない。実験や好奇心が強い人なら、多分間違っていると思っても新しいかことにトライできる。
関連
Good enough